こんにちは。経理部屋の大橋です。
昨日、生まれて初めてハチに刺されました。
小さな小さなミツバチでした。
なにせ初めてのことなのでビビリましたが、大して腫れもせず、
取り越し苦労となりました。
(因みにうちの農園には2度刺されたら命が危ないという、あのスズメバチに2回以上
刺された剛の者が2人もいます)
さて、前々回草堆肥について少し書いたのですが、
今回はその草堆肥をもう少しよく知るために、化学肥料について勉強したいと思います。
ご存知の通り、有機農業においては化学肥料を一切使用しません。
では、なぜ化学肥料を使用しないのか。
化学肥料のデメリットって何でしょう?
これまでは、「先生」にお越しいただいて説明してもらったのですが、
今回は少し趣向を変えて、モアークの出版物である「誰にでもできる有機農業」
(以下「誰でも有機」とします)を参考にしてみましょう。
化学肥料がどういう原料から出来ていて、投入するとどういうメリットがあるのかについては
既に多くの人がいろいろな場所で述べていますので詳細は割愛します。
「誰でも有機」によると化学肥料のメリットのポイントは以下の通り。
・堆肥を作る時間を短縮できる
・堆肥場などの設備を必要としない
・醗酵する際に出る臭いを防げる
・軽い
・即効性がある
・安い
つまり、「便利」なんですね。
ところが、リターンを得るにはリスクが伴います。
化学肥料の負の部分とは一体何でしょう?
少し長くなりますが、関連部分を引用してみます。
「誰でも有機」では代表的な窒素肥料である硫安(硫酸アンモニウム)を例にとっています。
「硫安を施用すると、土壌の中では化学反応が起こります。
硫酸からアンモニアが遊離し、植物にアンモニアが利用された後、硫酸が残ります。
硫酸は土壌を酸性化させ、土壌微生物や、有機物の分解者である土壌小動物をも死滅させます
(P49)」
つまり、硫安という化学肥料を使うことで確かに作物はできるのだけれど、
土壌が酸性になるという「副作用」も同時に起こるわけですね。
「また、酸性になった土壌を中性に中和するため、強アルカリ性である石灰を使用します。
土壌を中和しないと作物が育たなくなり、作物の生育に必要な微量要素も強酸性、
強アルカリ性の土壌では作物に利用されにくい状態となります。
土壌を整える為に無機物ばかりを施用していると土壌内の有機物を餌として分解する
土壌微生物や土壌分解者の有機的営みがなくなり、土の団粒がなく、水分や肥料分を
保持できない土となります。物質循環や生物循環のない農法では自然循環が断ち切られ、
農地の生産力を奪ってしまいます(P49-50)」
「副作用」を緩和させようとして別の施策をとると、さらに状態が悪くなっていくという
悪循環の始まりです。
さらに「誰でも有機」は次のように続けます。
「『連作障害』という現象があります。これは、毎年、同じ化学肥料を施し、
単一の作物ばかりを栽培すると、その作物が必要な肥料成分ばかりを吸収してしまい、
作物が病気を起こしてしまう障害です。
また、化学肥料である硫安は窒素成分が高い反面、『微量要素』が少なく、
『微量要素』が欠乏します。「微量要素」とは分かりやすく言えば、マグネシウム、マンガン、
亜鉛、鉄、銅などのミネラル成分です。
~中略~
農作物にとって微量要素の欠乏は、生育不良を生じさせます。つまり微量要素の欠乏により、
免疫力の無い作物が育ち、病気や虫害に弱く、農薬に頼らざるを得ない状態になります。
化学肥料のみを投入すると、連作障害→微量要素の欠乏による生育不良→病気の発生
→農薬散布という悪循環を起こします。
農薬を撒き、食物連鎖が崩れると、特定の虫害ばかりが増え、またまた別の違う農薬を散布する
という農薬が農薬を呼ぶという更なる悪循環です。(P50-51)」
生産力を奪われた土に化学肥料を使うことで無理矢理作物を育てようとすると、
農薬付けの悪循環に陥るというわけです。
化学肥料のデメリット(の一部)がわかりました。
農薬の害はわりと理解しやすいのですが、化学肥料のデメリットがわかりにくいのは、
農薬のように人体に直接影響するのではなく、長期的に見て土壌の自然循環サイクルを破壊し、
結果的に作物が育たなくなるというような間接的な話だからなのかもしれません。
病気や虫害といった見た目の現象にばかりとらわれていると、目には見えない、
土の中で起きているこのような悪循環に気付くことができないのだと思います。
目に見える症状を抑えようとするのではなく、結果(症状)を生み出している原因を探り、
そこを押さえる、あるいは予防する。そういう発想が有機農業には必要なのですね。
最後にもう一箇所だけ。
「畑の中は一見ただ土がたくさんあるだけの様に見えますね。しかし、土の中には無数の菌や
バクテリア、ミミズや昆虫といった多くの生物が存在しています。人間の知識では計り知れない
営みが畑の中で日々行われており、化学肥料の使用はそれらの無数の生き物の障害となる
ばかりか、自然サイクルの滅亡を結果的に生み出してしまいます(P57)」
自然に対する畏敬の念を忘れないようにしたいものです。
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